そう言って私たちは机の上にあった食べ物と飲み物を片付けてから、隣の部屋に行った。




「あっ!
来た来た!」



「えっ、まさかこれがあの黒木愁!?」



「うわー、すっげー変わってるー」



「あ、てか早瀬さんもいるじゃん!」



私たちが部屋に入ると木下さんを入れて、三人の男の人と、二人の女の人がいて、笑顔で歓迎してくれた。



「黒木久しぶり!」



「おう、元気にしてるみてぇだな」



「まあな」



「あ、黒木くんと早瀬さんはここに座って」



「えーと、君らはそっちね」



「はぁ…」



黒木先輩たちは昔の友達の人たちに挟まれ、私たちははしっこ。



といった感じに座らされた。




「なぁなぁ、そっちの学校どうよ?」



「え?
わりと普通だけど…」



「え、俺たちとあんま変わんないの?」



「まぁ…」



「つまんねぇ」



ハハハハと笑い合う先輩たち。



…ヤバイ、私たち置き去りだ…。



3人で隅っこに固まって座っていると、女の人二人が紀田くんと佳に声をかけて話出してしまった。



つまり、私1人だけぼっち…。




ふ、ふーんだ。



別に寂しくなんかないし。



…ホントは寂しいけど…。



私が言い出しっぺで賛成したんだし、我慢しないと…。



1人ジッと下を向いて座っていると、隣にドカッと座る音がした。



見てみると、笑顔の男の人が隣にいた。



「あの…」




「ねぇキミ。
今彼氏いる?」



「…はい?」



な、何で初めて会う人にそんなこと聞くの!?



「い、いますけど…」



「え、マジ?
ざ〜んねん。
俺キミのこと結構いいなって思ってたのに」




「はぁ…。
それはありがとうごさいます…?」




な、なんか顔が異様に近いような気が…。



「ねぇ、名前なんて言うの?」



そう聞かれた時、突然肩に手を伸ばされて掴まれた。


「え、あのっ!?」



「あれ?
顔赤くなってるよ?
か〜わいい!」




さらに力を入れられる。



私とこの人はぴったりくっついた状態だった。



「あの、放して…」



少し恐くて声が小さくなる。



「え?
何か言った?」



その人は聞こえなかったのか、顔を私に近づける。



い、イヤだ…。




黒木先輩…!




目をつむって先輩に助けを祈った時だった。




「おい村上!
俺の実梨から離れろ!」



先輩の声が聞こえた。




目を開いて見ると、目の前に血相を変えた先輩がたっていた。




「先輩…」




「村上、その手を退けろ!」



さっきまで隣にいた村上と言う人の体を突き放す先輩。



そして片腕でギュッと私を抱きしめながら




「2度と俺の彼女に手出すなよ?
もう一度したら次は…わかるよな?」



ギロッと睨む先輩の目は村上さんをとらえていた。




「く、黒木の彼女だったのか…。
わりぃ、もう2度と手なんか出さねぇからその目止めろよ…。
マジで恐ぇ…」




汗をたらしながら苦笑いをする村上さんはすぐ私の隣の席から逃げ、早瀬先輩の隣に座った。




睨んでいた先輩も元に戻り



「実梨、大丈夫だった!?」



と両肩を掴みながら心配そうに聞いてきてくれた。



「大丈夫ですよ」



「そっか、良かった…。
ごめんな?
俺からちゃんとアイツに言っとくから…」



「いえ、私は何事もなかったんですし、許してあげてください…」



はははと苦笑いして言うと、先輩ははぁーとため息をついて下を向いて



「実梨に何かあったら俺マジで正気じゃいられないかも…」



と小さく呟いた。



私には何て言ったかよく聞き取れなかったけど…。




「でも私、初めてナンパ?的なものをされました。
何だか新鮮ですね」




クスクスと笑うと、先輩も




「あんまり心配させないでくれよ?」




冗談混じりに言って笑った。