「おー、みんな元気に来てるな〜!」
朝のHRが始まる。
私の席は窓側の真ん中。
外は眺めがいいから、つい先生の話を聞きながら外を見てしまう。
そういえば…。
先輩たちは自己紹介してたのに、私たちはしてないや…。
今度また会った時にでもしよう。
……先輩のあの爽やかな声、どこで聞いたんだろう?
私はまだ考えていた。
「ねぇねぇ、夏休み何した〜?」
「あたしは1日中ゴロゴロしてた!」
「やっぱり!?
だよね〜」
にぎやかな女の子たちと集まって夏休みに何をしていたのか話し合う。
「あ、夏未は篠原くんと夏休みにデートしたの?」
「えっ!?
うん、まぁ…」
「マジー!?
羨まし〜」
「私も彼氏欲しいわ〜」
「あ、そういえばね、内山くんって…」
夏休みトークから恋愛トークに変わる。
ん?
夏休み…?
デート…?
何かが思い出せそうな気がした。
何だっけ、何だっけ?
「そういえば8月の半ばぐらいって、すっごい暑くなかった?」
「あぁ、暑かったね〜」
「私日射病になって倒れちゃったんだよね〜」
「マジで!?
あ〜、そんな時は黒木先輩に運ばれたいよね〜」
「確かにね〜
声爽やかだし〜」
日射病…?
爽やかな声…。
あ、出てきそう、出てきそう!
………。
「わかった!」
あの爽やかな声の人だ!
私がデート中に倒れた時、受け止めてくれた…。
なるほど、だから先輩は私たちのこと知ってたのか…。
まさか命の恩人…は、言い過ぎか…。
まぁ、助けてもらった人のことを忘れてるなんて…!
しかも、朝先輩に対してちょっと態度酷かったかも…。
「実梨…?
どうしたの?」
「えっ…?」
今気がついた。
みんな私の方を向いている。
あ……。
さっき、わかった!って言って、机を叩いて立ち上がっちゃったんだった。
「な、なんでもないです…」
恥ずかしくなって、シュンと小さくなりながらイスに座り直す。
そんな私を見た後、みんなまた互いに話始めた。
今度先輩にお礼しに行こ…。



