先輩と後輩の恋愛事情




『安心して待ってろ』っか…。




先輩、頑張ってください!




私は先輩に言われた通り、早瀬先輩を連れて安全な場所へ隠れ、先輩の無事を祈った。









―あれから一時間半―




「てめぇで最後だ!
青木ー!!」




先輩のみぞおちパンチが青木団のリーダーのお腹に当たり、倒れてから起き上がらないので、先輩の勝ちとなった。




「くっそ…黒木。
てめぇ全然なまっちゃいないな…」




「…そんなことねぇよ。
俺だって殴り合いするのは一年半ぶりだ…。
けど、大切な奴を守る為なら強くなれんだよ」




「…お前変わったな…」




「あぁ。
…俺は昔の俺より、今の俺の方が好きだ。
守る強さを知らなかったあの頃より、何倍もな…」




「…そうかよ」




「お前も大切な奴を見つけてみろ。
きっと今よりスゲー楽しいからさ」




「そんなもんかね…」





「そんなもんだよ。
きっとお前ならすぐ見つけられると思うぞ。
意外といい奴なんだからな」




「…なんだそりゃ…」




「じゃ、俺はそろそろ行くわ…」





話が終わった先輩は倒れていたリーダーの側から立ち上がった時だった。




「黒木!
悪かったな!
けど、またいつか昔みたくケンカしようぜ!」




「…あぁ。
けどそれは、お互いが卒業してからな!」




「…確かに」




笑い合う先輩たちは何だかすごく輝いているように見えた。








「実梨!」




「先輩、無事で良かったです。」




「ごめんな、怖い思いさせて…」




「いえ、先輩が助けに来てくれただけで十分嬉しかったので、そんな謝らないでください」




ギュッと抱きしめる先輩に私も背中に腕をまわし、抱きしめた。




「もうこんな怖い思いはさせない。
俺がずっと実梨を守るから…」




「はい。
お願いしますね、先輩」




笑顔で笑う私に、先輩は一瞬驚いた後、すぐに笑顔になった。





これで、全て終わった…。