「実梨!」
早瀬先輩と話を片付けてきた先輩は急いで私の元へ戻ってくるなり、ギュッと強く抱きしめた。
「実梨、実梨…」
「せ、先輩、苦しいですよ…」
「あ、ごめん」
先輩はハハハと離れると泣きそうな笑顔で私に微笑んだ。
「良かった。
内野宮くんに電話で実梨が連れ去られたって聞いた時はすごく驚いたよ…」
「先輩…」
今度は優しく抱きしめられる。
「青木団の奴等だと思ってたけど、合ってて良かった」
「先輩、先輩の後ろにいた人たちって…」
「あぁ、あれは俺の昔の仲間。
まぁ、早く言えば黒木集団のメンバー…」
あれが…。
昔先輩が荒れてた時に一緒に過ごしてた人たち…。
「俺もまだみんなと戦わなきゃいけない。
実梨、大人しくここにいて隠れてて」
先輩は私から離れようとする。
「待って!」
とっさに服の裾を掴んでしまった。
「…そんな顔しないで。
大丈夫。
全部終わったらまたここに戻ってくるから」
不安で一杯の私に先輩は笑って頭を撫でてくれた。
「安心して待ってろ!」
そう言って先輩は乱闘の中へ行ってしまった…。



