「 ・・・・寝たよな 」 帰路について携帯を 耳に押し当てる。 まだ1ヵ月。 たった1ヵ月で、 何度もすれ違っていた。 葵が学校に行くのも8時。 俺が会社に行くのも8時。 朝はお互い連絡するような 時間はなくて、葵から折り返して 電話がかかってくるのはいつも 昼か、夕方。 「 葵? 」 聞きなれたコール音が鳴り止んで 立ち止まった俺は、全神経を耳に 集中させた。