「…律。」

振り返ると、テニスコートとは全く縁のなさそうな服装の女の人がいた。

多分…佐伯先輩のお母さん…。

 「…あの。」

島田先輩が何か言おうとするのを、佐伯先輩が手で制した。

 「いいよ、光弥。
  先生。
  母さんと話あるので…。」

 「おう。」

佐伯先輩のお母さんの白いロングスカートが風になびく。

 「…律、このまま終わったり
  しねぇよな?」

 「大丈夫だよ。
  律のお母さんもわかって
  くれたって。」

本部からあたしと日花梨先輩の名前が呼ばれた。

次は千葉6位のペアとの試合。

ここで負けたら即終了。

日花梨先輩の中学校でのテニスの道はここで途切れることになる。

…そんなの嫌だよ。