何もしてあげられなかった。

ペアとしてどうすればいい?

あたしって愛華にとってなんなの?

言葉が上手く出ない。

 「…日花梨?」

 「…え?」

 「聞いてたかって、今の話。」

帰りのバスは通路を挟んで海斗と隣だった。

ほとんどのメンバーが寝ている中で、あたしはなんだか眠れずにいた。

 「…ゴメン。」

 「合同練習だって。
  あの藤乃宮高校と!」

 「藤乃宮…!?」

全国レベルのあの高校と合同練習?

…夢みたいな話だ。

 「ああ。
  去年のインターハイじゃ団体で男女
  ベスト4。
  個人もベスト8に男子は4ペアだ。」