あたし…?

あたしってどーゆーこと?

ラケットヘッドが軽く下がった。

 「あたしなら?」

だからなんなの?

あたしなら…?

 『足元に落とす。』

あたしと誰かの声が重なった。

凄く不思議な感覚。

体が中に浮いたような気がした。

…打ってくるコースさえわかれば…。

足元に来たボレーを軽くすくい上げるようにして返球した。

大庭さんの軸足の近くにボールを送る。

全てが一瞬の出来事…。

信じられなかった。

 「ナイスボール!!」

ボールはコートの外に転がっていた。

…返球できた?

 「…ありがとうございます。」