帰り際。




「もう帰るの?」




お母さんは、そう言った。

いつもは『気をつけてね、また明日』だったのに。



何かが違うのを感じていながら、私はお母さんを振り返った。




「何?寂しいんでしょ?」




出来るだけ明るい声で。

明日も来るから。

そう言って。




私は、 病室を後にした。

どこか、後ろ髪を引かれる想いがした。