服を着ると無理矢理、玄関のほうに足を進めさせられる。 家の前には見覚えのある、1台の車。 裕二のだ。 「…乗れ。」 「う、うん」 開かれたドアに手をかけ、中に乗り込む。 「ねえ、何処行くの?」 「…会社。」 焦ることなく、静かに答える裕二。 会社…… そう言われた瞬間、すぐにあの綺麗な人の顔が浮かび上がった。 「……。」 無言になる私の頭を裕二が撫でる。 「大丈夫だから」 裕二はなんでもお見通しみたい。