「う……ん」 ぼやける視界、 見えた黒のスーツ。 「…起きた?」 「起きた…」 肌寒い私の格好とは正反対にきっちりとスーツを着た裕二の姿が目の前にあった。 もう、帰るの? 「梨華、服、着ろ」 ぼーっとする私に、下に投げ置かれている服を投げ付ける裕二。 「いきなり何!?」 「早く。」 質問の返事も貰えないまま、渋々渡された服に手を通す。 どっか行くの? 時計はすでに6時を指していた。 「……いいから」