もうトイレの件は忘れよう。
そう決意し、貰った紙切れを開く。

「体育館裏らに来て下さい」



「……うそ」




余計な字が入ってる


見付けてしまったことで、何だか申し訳ない気持ちになり、そっと紙切れをポケットにしまった。

そして、もうお手洗いでの出来事はすっかり忘れていた。



「ん?志水さんどうしたの?顔が赤い」
「な、なんでもないっ」
不意に佐紀の声が聞こえ、慌てて椅子に座る。

「これは……」




もしかして……恋文?

(今はそんな古風な言い方をする人は少ないが。)



「うん?ラブレターでも貰った?」
「え?ううん!貰って無いよ!」

佐紀は怪しいなあとジロジロと理子を見たが、すぐに目線を外して鞄に無造作に教科書を突っ込んだ。




勿論HRの内容などは頭に入らず、理子はずっと空を眺めていた。











かなり傍迷惑な出来事がこれから起こる事も知らずに。