「よろしくお願いします。」





低く響くその声に、隣に立っていたキンさんの肩がびくっと上がる。





「キンさん…」





「う、うるさいよ!」





顔を真っ赤に染めて目を伏せる姿は、本当に綺麗。





女の人は恋をすると綺麗になるっていうけれど、本当にそう。





キンさんが斎藤さんを想っているとき、まささんが原田さんを想っているとき、まるで別人のような顔つきになる。





私も、そうなのかな?





沖田さんを想うときに、少しでも綺麗になっていられたらいいと思う。




「斎藤くんも異常は無いようだね。」





「ありがとうございます。」




そういえば、斎藤さんが体調を崩したり怪我をしているのは見たことがない。




当然と言うべきか、流石と言うべきか。





「斎藤は自分に厳しすぎるところがあるからね。本当のところ、どこかしら欠陥を抱えてるんじゃないかって心配なんだよ。」





キンさんはふうっとため息をついた。




そうなの、かな?




私から見たら斎藤さんは、全く持って健康だと思っていたけれど、そうじゃないのかもしれない。