「篠原くん、池田屋に出入りしているみたいで…」






「何だって!?」





池田屋?





あそこは、長州藩士が使っているところ。





そんなところに旧幕府軍の者が出入りするなんて、考えられない。





まさか、寝返った?





いや、篠原に限ってそんなことはないはずだ。






「ここに来た時からもずっと、誰かと連絡を取っているようだったわ。でも、親族だろうと思って目に賭けずにいたのが、失敗だったかしら。」






まさか…。





スパイだったって事か?






「俺、追いかけます。」





それだけ言い残して、篠原の言った道を追いかける。





誤解を解いてやらないと。