5分くらい走って、足を止めた。 「…ッはぁ、大丈夫?」 「は、はい…」 本当は、まだ大丈夫なんかじゃないけど。 私が躓いたもの。 無惨に切り刻まれた、それ。 もうなんだったのかも捉えられなかったけれど、あれはきっと人間だった。 初めてだ。 あんな残酷な殺され方をされたものを見るのは。 飛び出た内臓や、顔ですらぐちゃぐちゃにされていた。 辺りが暗かったし、一瞬の出来事だったからよくは見れなかったけれど。 「…っく…」 吐き気が。 吐き気がする。