何年か経ち、菜乃が八歳になった頃…。 「お兄ちゃんは何で、ていねい語なの?」 純粋無垢な顔で、そう問われた。 僕は泣きそうになった。 「本当の家族じゃないんです…僕と菜乃ちゃんは」 「じゃあ、家族になるために…結婚しようよ!要くん!」 菜乃はにっこり笑った。 “お兄ちゃん”って呼んでいたが、その日から“要くん”と呼ぶようになった。 ―この日から、ずっと 菜乃は初恋の相手です…。 菜乃は覚えていないと思うけど…。