――――――…
段々と意識が戻り始め私は蝉の声が一瞬止んだ時に目が覚めた。
ゆっくりと体を起こすと再び蝉が鳴き出していた。
「あーあ。制服しわだらけだ。」
私は制服からパーカーとジャージという楽な格好に着替えた。
部屋の中は夕日にそめられオレンジ色だ。
時計を見るとすでに6時を過ぎている。
すっかり眠気がとんだ私は家の近所を散歩してみようと自分に提案し手ぶらで外にでた。
「夕日も綺麗だな」
夕日は眩しいくらいに輝いていて思わず目を細める。
「どこ行こうか…」
独り言を呟きながら考えなしに歩く。
その間、人とすれ違う事はあまりなかった。
*
暫くのんびり歩いていると川が見えてきていた。
夕日が落ちて月がのぼりだした頃だった。
当然のように私以外、誰もいなくて梟の声が虚しく響く…。

