そしてもう1つ…。
「どうして私がこの子を育てなきゃいけないんだいッ!?
貴方が引き取りなさいよッ!!!」
「俺にはまだ5才の息子がいるんだッ!!!
あんなのを家におけるか」
「あんまり大きな声を出すと彩花ちゃんに聞こえますよ…。」
「じゃあアンタが引き取れよ」
「それは……。」
小学3年の夏。私は親戚達の邪魔者になった。
だけど最終的に紗代さん夫婦に引き取られる事になった。
私は申し訳なさでいっぱいだった…。
子供のいない紗代さん夫婦は喜んでいたようだが 私にはそれが本当の気持ちだと思えない。
単なる同情を私に向けているだけじゃないのか…
初めの内はそう考えていたが私を本当の娘のように接してくれた。
だから私はいい子なフリをする。
二人の前で絶対に人ではない者とは決して目を会わさず話さない。
自分を隠す事を学んだんだ。

