けれど回した先で見たものに驚きすぎて、途端にヴァイオリンの首を強く握りしめてしまった。

彼が抱えているものは、大きさと言い重さと言い、ヴァイオリンの比ではない。

投げ出された手の白いひらと、曲がった足の履く茶色いブーツを見て、シェリーは制御なしで叫んでいた。

「だっ、大丈夫? ななんで? 今落ちてきたのって、人だったの? なんで空から人が降って来るの?!」

「ともかく」

「えぇ」

「ソファのケースをどけてくれないか」

「そうね、そうだわ。あ、でも私これを、これ、ヴァイオリンをどうしたらいいの?」

「テーブルの上に置いて。あぁ、大丈夫。それでいい」


 再び扱いに注意をはらい、シェリーはヴァイオリンをテーブルの上に寝かして置いた。

ゆっくりと片手ずつ離して、じっと見つめる。

微かにも動かないことを確認すると、やっと身を返した。