その言葉をしまい込むように、メアリーアンは手を組んだ。

そしてまた軽やかに歩き出す。

ただし、今度は少しゆっくりと。

「とび出したところでメレディスの馬車に出会って驚いたわ。それもリースがいなくなったって言うんだもの」

言外に『あなたならともかく』が隠されている。

メアリーアンの目も雄弁だったが、なによりシェリーは誰の目にもそれを見ることにすっかり慣れてしまっていたために、嗅ぎつけるのは簡単なことだった。

そして、そこに問題はない。

「リースはメレディスにウィルの――ヴァイオリンの話をしていたのね。だからメレディスは、こっちに来たんでしょ?」

あのお茶の会での話を一通り伝えていたのだろう。

リースは執事であるメレディスと、特別に仲が良い。

そしてメレディスはあの家の執事に相応しく、頭の切れも動きも良かった。

実に一家の誰よりも、と言ってしまってはサーヴァントの法則に逆らうものとなってしまうとしても。