額に手を当て熱を感じ、どこからこんなに興奮していたのだろうと思う。

初めからだと言えそうだ。

初め……は、『カノン』が滑り出したあの時から。


 シェリーは長い旅路の果てにやっと。

そんな気持ちで、ウィリアムの前に立った。

「シェリーよ」

にこりと笑いかけ、手を差し出す。


 私のこの手もあたたかいでしょう。

呪文のように、そんな言葉を頭に浮かべ。

「ウィルだ」


 手は重ねられ、あたたかかった。

やっと、名を告げられた。


 魔法使いと一緒よ、ウィル。
これであなたは私に秘密を握られたことになるの。


「未来ね。ウィル」