「…主は気まぐれです。態度には気をつけてくださいね」


 階段を上りきった先、甘ったるい香りが漂う部屋の扉の前で店員は小さく呟き扉を開けた。

 扉が開くと同時に、ゴクリと生唾を飲み込んだ青年の耳に聞き覚えのない音楽が大音量で飛び込んできた。


 咄嗟に耳を塞ぐ青年の前を横切った店員がすかさずコンボの音を下げた。