深い深呼吸をし、覚悟を決めて目を開けた。 開いた扉の向こう側、俺は拍子抜けしてしまった。 エレベーターを降りてすぐにあるレストランには警備員らしき者は見当たらない。 ただ…一面ガラス張りのレストランは見通しが良く、奥の窓側に浮かぶ可憐な横顔を俺は見つけた。 奈央は、なんともなさそうに笑っていた。 ───やっぱり、俺が奈央の恋愛に首を突っ込む権利なんかなくて。 だけど俺は…、あの時の俺とは違う。 権利なんか、作ればいい。 俺は、偽装であるとしても…奈央の、彼氏だ。