便利屋




『いや、そういう訳じゃなくて…』


女は長い睫毛をしばたたかせて、俺の言葉を待っている。


『いや、俺はお前の彼氏役なんだし、お前の好きな名前で呼べばいい。』


そうだ、仕事だから。

本当はこのタメ口もダメだろうけど…彼氏役だからいいってことにしてしまおう。



「それもそうね。…じゃあ、レン!」


『…レン?』


「睡蓮の蓮って書いて蓮(レン)ね!」


『おう。りょーかい。』