受け止めきるには、俺たちはまだまだ小さすぎる。
時々どうしていいかわかんなくなって
逃げてしまうときだってある。
逃げてしまったときには、こうしてその時間を精一杯楽しんでしまえばいい。
逃げてしまった分、次にはちゃんと受け止められるように。
この手があれば大丈夫だって再確認して、さ。
『奈央。』
「ん?」
『俺が、いるからな。』
伏せ目がちに笑う。
そんな彼女がたまらなく愛しい。
「広人?」
『…?』
ひょいっと俺の顔を覗きこんだ奈央は、極上の笑顔を浮かべながら言った。
「広人にだって…わたしがいるからね?」
悪戯に笑う彼女は、俺なんかよりも強いんじゃないかって思ったりもする。

