便利屋





手をつないで、ゆっくりと歩き出す。



「イタリアンがいーかなあ?それともケーキバイキング?」



俺たちが受け止めなければならない現実は、思ってるよりも…デカイ。



『俺甘いもん無理…ってかケーキが昼飯かよ?』



でも、こうして手をつないで。

確かめ合いながら。



「わたしはケーキがお昼ご飯でも全然大丈夫だよ〜♪」



楽しそうに笑う奈央の手を、ぎゅっと握りしめて。

離さないように。



『…俺、無理。』



受け止めなければならない現実をゆっくり、そっと、受け止めていこう。



「知ってる。ふふ。だからイタリアンがいーかなあ?」



時々、こんな風に見つめあって、笑いあいながら。



『俺、新しくできたイタリアンの店知ってる。』



ちょっとずつ、休憩しながら歩いていこう。



「そこいこうよ…?」