便利屋





『奈央…?』



無言でひたすら俺の頭を撫で続ける。


それがなんだか心地よくて…、ゆっくりと瞼をおろそうとしたときだ。



───ぐぅ〜‥



なんとも間抜けな音が俺の耳に届いた。



「あ───‥」



奈央を見上げてみれば、その顔は真っ赤に染まっていた。



『はははっ』



思わず吹き出して笑うと、頭を軽く叩かれた。


そして俺の頭を叩いた手は奈央の顔を隠す。



「…笑わないでよ!」



小さいけど勢いのある言葉に、俺はさらに顔をほころばせた。




『なあ、奈央。』



「ん…?」



俺はそっと奈央の顔を隠す手を両手で包み込むと、優しく笑いかけた。



『もう仕事はいいだろ…だから、───‥デートしよう?』



もともと今日は奈央とランチデートでもって考えてたんだ。


仕事…は、もういいだろう。

一応、荷物運びを全うしたつもりだし。



「…ランチデート?」



『うん。誰かさんのお腹の虫が鳴いちゃってるし。』


そうおどけて言ったら、また軽く叩かれてしまった。

でもそんなんじゃ全然、痛くも痒くもねーよ?