ゆっくりともとの位置に戻る──俺は奈央の隣に、戻り座る。
菜々子さんは、そっと隆史さんの隣に座った。
「───‥俺はいままで、アメリカにいた。」
ゆったりと口を開いた父さんに、誰もが耳を傾けた。
「本当は…こんなに長く向こうにいるはずじゃ、なかったんだ。」
「こんなに長くって…本当は何日で広人くんのところに戻るはずだったの?」
菜々子さんの言葉は、毅然として父さんに対して冷たい。
でも菜々子さんだから───‥父さんの幼なじみであるから、こんなにも必死になってくれるのだろう。
「5日…だ。華さんに‥そう言って、広人を頼んでいった。」
俺の記憶が───‥、ゆらりと揺れ動いた。
そうだ、あのとき───‥
あのときも俺は、確かに空港で誰かを待っていたんだ。
“はなおばーちゃん‥?”
“ヒロくん、なんだい?”
“とうさん、どこにいるの?”
“───‥もうすぐ、来るさ。”
“もうすぐ‥?”
“そうだよ。…きっと、すぐ。”
『───‥そうだった。俺はあの時空港で華おばあちゃんと、父さんが帰ってくるのを待ってた。』
¨きっと、すぐ¨が───‥12年とはな。

