突然、本棚の影からひとりの女性が現れた。
「あんた聞いてれば何よ!ふざけたこと抜かしてんじゃないよ!!!」
とても綺麗な女性なのに…怒っているせいで、今にも額に血管が浮き出そうだ。
そう、漫画のヒトコマのように。
すると、左からさっと立ち上がる影がある。
「ちょっと…お母さんっ…!」
俺の左は…もちろん奈央だ。
奈央が立ち上がり、女性を宥めようとしている。
「お母さん…!」
お母さんって…奈央の母親!?
でもたしかに…奈央のこの美貌は、絶対に母親譲りだ。
立ち上がったはいいものの、どうしたら自分の母親を落ち着かせられるか、奈央はわからないようで戸惑っている。
「あんたっ…隆史も黙ってないで何か言いなさいよ!このバカ秀人、どうしようもないわよ!!!」
奈央の母親の怒りの沸点は、完全に超え沸騰している。
沸騰石をいれなきゃ…だよな。
傷ついたままの弱い心を隠し、奈央の母親の怒りを鎮めにかかろうとしたときだった。

