大きくとられた窓から、日の光が漏れ出でている。
「…ひ、久しぶり。」
ひとつの人影が、ぽつりと声を発した。
逆光で顔が見えないものの、その声には聞き覚えがあった。
「…お…父さん…?」
人影はゆっくりを俺たちに向かって近づいてくる。
窓からの光を完全に背中で受け止め、立ちはだかる人物は───‥奈央の父親だった。
「久しぶりだな、隆史(タカシ)。」
『…たかし?』
耳慣れない名前に、小さく声が出てしまった。
「あたしのお父さんの名前だよ」
奈央が小さく笑いながら教えてくれた。
「元気だったか?」
「あ、ああ。」
「菜々子ちゃんとうまくいってないって聞いたけど?それでも元気だって言うのか?」
依頼人の厳しめな言葉に奈央の父親──隆史さんは完全に言葉を失っている。
隆史さんは気が強いことはない。
だから依頼人はわざと厳しめな言葉を隆史さんにかけたのか?
依頼人と隆史さんは、どういった関係なのか───‥?
「突っ立ってるだけじゃ、話は進まない。…座らせてくれるよな?」
「あ…も、もちろん。」
隆史さんはおどおどしながらも、書斎の奥にあった華やかな空間に案内してくれた。

