便利屋





ぼんやりと記憶を彷徨していると、トンっと右肩に衝撃を感じた。


アメリカ人だろうか…慣れない日本語で「スミマセン」と謝られた。



『No problem. It's my fault.』

───大丈夫です。僕が悪いんですから。



ぼーっとしていて、前を見てなかった俺が悪い。


微笑んで英語で返事をしたせいか、アメリカ人の男性は俺に尋ねてきた。



「アナタ、エイゴ、ハナシマス?」



あなた、英語話します…?



「広人、広人!」



すると左肩のほうから、奈央が顔を覗かせた。



「あたしに任せて。たぶん広人が待ってる飛行機、この外人さんと同じ飛行機だよ。」



そうか…依頼人はニューヨークからの便だった。



「広人は依頼人さんをさがして?あたしは早く外人さんの疑問に答えなきゃ。」



そう言った奈央はすっとしゃがんで、小さな可愛らしい女の子の手を握った。


家族旅行か…よく見ればアメリカ人男性のうしろには、美人なアメリカ人女性がいた。



「<わたしが代わりに案内しましょうか?>」


俺とは比べ物にならない、奈央の流暢な英語。


これでアメリカ人家族も安心しただろう。

俺みたいな中途半端な日本語なまりの英語よりも、奈央みたいな現地でもバリバリ通じる英語を話せる人のほうがいい。