到着ロビーには、様々な人種の人が行き交う。
たしかに人種は人種だけど、俺としての捉え方は少し違っていて。
人種と言っても肌の色で分けられる人種でも、言葉で分けられる語族の人種でもなくて…
様々な人がいるってことだ。
留学先から帰国したのだろうか、再開を喜びあっている人たち。
初めての来日なのだろうか、日本の気候に興味津々な外国人たち。
最後に通る税関で止められてしまったのか、税関の文句を言う家族たち。
なんとなく…
俺の記憶のどこかで、この光景が疼くような、そんな感じがした。
前にも…来たような気がする。
いや、到着ロビーで他人を待つのは初めてのことじゃない。
依頼されて、来たことがある。
だけど、そうじゃなくて。
───‥あのときも、
俺はダレカを待ってた…?

