便利屋





奈央の行動のひとつひとつに跳ね上がる俺の心臓は、病気なんだろう。


奈央にときめかすにはいられない病。




『んー…うまかった。』



俺の言葉ににやけを止められない奈央の顔も、愛しい。



『いくぞ?』



そっと手を差しのべてやれば、ぎゅっと握りしめてくる。



この温もりを、俺は一生離さない。

誰にも、譲れない。





空港まで向かうタクシーのなか

こてんと俺の肩に頭を預けてくる彼女は、俺のために睡眠時間を削ったのだろう。



本当は奈央だって朝が弱いってこと、…知ってる。


それでいても、俺のために早起きしてくれる彼女に、俺の心は潤うんだ。

いままでは知り得なかった、あたたかい感情とともに。