『まったく…どこのお嬢様がおにぎりなんか握るんだよ。』
「ここ!わたし!!」
『そーゆう意味じゃねーよ。』
ただ…うれしくて。
『…やけど。』
「へ?」
『へ?じゃなくて、やけど!…しなかったか?』
人が真剣に聞いたのに…!
奈央は笑いだした。
彼氏が彼女の心配をするのは当たり前だろ。
なんで笑うんだか。
俺は玄関に座り込み、奈央からもらったおにぎりを食べ始めた。
「えーここで食べるの?」
俺は軽く奈央をにらみ、口のなかのご飯を飲み込んで言う。
『これから仕事行くってところに立ち塞がったのは誰?』
「あー…ごめん。仕事の時間だいじょうぶ?」
『だめ。』
「えっ!?」
『嘘。ぜんぜんよゆー。』

