ケンカしに来た訳じゃねぇのに……。
優美に会いに来ただけなのに……。


『なんでだよ!クソッ!!!』


堅いコンクリートの壁を、何度も何度も殴った。


日の落ちだした道には
俺の情けない声と血で赤く滲んだ掌でコンクリートの壁を殴る音だけが、虚しく響いていた。