‡魔王‡




「人間じゃないんですよ……」





信じられない…。

俺が…俺が魔王だなんて…。






「あ、来ましたよ」



青年は前を指差した。




俺はその方向を見る。


そこには小さな明かりがあった。





それは小さくゆらゆらと揺れ、こっちへ向かって来ている。





「あれは…?」



「明かりですよ。魔王様が好きだった色の」





俺が好きだった色?



俺が好きな色は…赤色。




あの光の色は…赤色。






「ね?好きだった色でしょう?」




青年は俺に微笑みかけて来た。