家に無事着いて、中に入るとまだ、リビングにいたお母さんが私の格好を見て驚いた。

伊織君に借りた大き目のTシャツにショートパンツ。


「沙織?どうしたのよ、その格好」


「うん、自転車でこけて服がボロボロになっちゃった」


そう言って破れたジーンズを見せた。


「友達の家って男の子の家に行ってきたの?その服、男の子の服でしょ?」


「うん、そうだよ」


お母さんは手招きして私をソファに座るように促した。


「何?」


「あのね、沙織。今もう10時過ぎてるのよ。相手のお家の事も考えなさいよ」


「うん」


「それに、沙織、その子と付き合ってるの?」


私は首を振った。


「ただの友達だよ」


お母さんは大きなため息をついた。


「他の友達もたくさん集まってたの?」


「うっうん。何人か居たよ」


さすがに二人切りだとは言えなかった。