「入学当初も、傘を忘れた日がありました。」
そう。で、私は今日みたいに雨の中を歩いてた。
『良かったら、これ使って下さい。』
『え?』
振り向くと、優しく笑う男の人がいた。
『風邪引くよ。』
と、私の手にビニール傘を持たせる。
『大丈夫ですよ、家は近いんで。』
『君、新入生でしょ?慣れない環境になると体調崩しやすくなるから。』
そう言い残して彼は走って行ってしまった。
のちにグラウンドでサッカーに励む彼を見た。
葉月の話によるとそれが峰河さんという3年の先輩だと知った。
なんだかドラマみたいな話だねー、と葉月は笑った。
私もそう思う。知らない人にあんなに優しく出来る人がいるなんて…。
峰河さんを見てるうちに、先輩からも後輩からも好かれる人なんだとわかった。
仲間とサッカーをする彼はいつも楽しそうで、いつからか目が離せなくなっていた。
