こっちを見なよ


どんよりとした雲が空を覆う昼下がり。

昨日の葉月との会話が頭をぐるぐると回っている。

私は本当に峰河さんのどこが好きなんだろう。
正直彼の性格はほとんど知らない。
でも、峰河さんの容姿だけが好きなわけでもない。

そう最初に気になったのは…



ポツッ

「雨だ…。」

わずかだが雨粒が頬をかすめる。
「強くならないうちに帰ろうっ。」

私の家は大学から歩いて30分くらいの所。傘は忘れてしまったが、わざわざ買うほどの距離でもないと思った。


ザッザッザッザッ…

ポタッ…

ポタポタポタッ…

やばぁ強くなってきた。

ザァァーー

ダメ。完全にびしょ濡れだ。

私は早足を止め、ゆったりとした足取りになる。

「どうせもぅ濡れてるんだから、いくら早く帰ったって同じでしょ。」

道行く人は私の姿に驚く人もいるけど、大抵の人はなんでもないように通り過ぎて行く。
私もそれで良いと思ってた。