「どうもしねぇよ! てめぇごときが俺に近寄るんじゃねえ!」

頭を押さえながら走る鷹雅。

「でも顔色が悪いようですよー? 大丈夫ですかぁー?」

「てめぇに心配される謂れはねぇよ! いいからこっち来んな!」

「でも、そんなにがっちり頭押さえて……頭痛がするんじゃないですかー?」

「うるせぇな、てめぇごときが俺様に話しかけんなって言ってんだよ!」

……と言いつつ、涙目で逃げる鷹雅。

それを追いかける雪女は。

「怖がらなくても大丈夫ですよ! 私がしっかり保健室まで案内しますからね!」

二年生に進級したこともあって、先輩としての使命感に燃え始めた。

普通に走ったのではさすがに追いつかないので、扇子の小梅ちゃんを召喚。吹雪を巻き起こし、その風に乗って鷹雅を追いかける。

「誰がてめぇなんかを怖がるかああああー!」

なんて強がりながら、心の中では「ヒイイイイイー!」と悲鳴を上げながら逃げる鷹雅。



──こうして、追いかけっこで終わった入学式。


それ以来、学園を牛耳ろうとしていたはずの鷹雅は、割と大人しく学園生活を送っているそうな。










雪女に対するトラウマは遺伝子レベル。