【指】



いつものごとく、橘邸のリビングで優雅にお茶を飲みながら休日のひと時を過ごす和音、拓斗、フェイレイ、そして鷹雅。

女の子たちはみんなお買い物に出かけていってしまったので、現在はこの4人しかいない。


「というわけで」

「どういうわけだ」

話を始めた和音に、すかさず突っ込む鷹雅。

「上からお達しがあったので、僕たちでフェチについて語ってみようと思うんだけれど……」

マイセンの上品な白いティーカップ片手にする話ではないと思いますがね。

「別にいいけど。そもそもフェチってなんだ?」

相変わらず無知な赤髪の勇者は、クッキーを頬張りながら首を傾げた。

「そうだね……本来の意味は違うんだけど、日本では性的嗜好の分類や属性表現として使われるかな」

和音の説明に、フェイレイはぱちくりと深海色の瞳を瞬きさせ、また首を傾げた。……理解出来ないようだ。