オノマトペ


同じく、温泉旅行から数日後の橘邸。

屋敷から繋がる回廊の先にある屋内温水プール──長さ50mある競技用。ちなみにバカンス用も別所にあり──のプールサイドで、水着の上から薄手のパーカーを羽織った花音が、巨大ウサギのぬいぐるみ五所川原を抱きしめ、オロオロしていた。

「雪菜先輩……大丈夫ですか……?」

花音がそう話しかける雪女の佐伯雪菜は、白い襦袢を着て飛び込み台の上に立っていた。

頭には水泳キャップではなく、白いハチマキをしている。

……丑の刻参りでも行くのか、という格好だ。

和音にも拓斗にも遠慮してもらい、今ここにいるのは花音と、隅にあるテーブルにお茶の準備をしている執事の南原だけなのだが。

あまり人前で肌を見せる習慣のない雪菜は、水着は恥ずかしいらしい。

「大丈夫です、花音ちゃん。私、頑張りますっ」

雪菜はそう意気込んで、温水プールの中を覗き込んだ。