温泉旅行から数日後。
天神地区にある山の上のお城にて。
「お……おおぉおぉおぉおおー!」
脱衣所にある三面鏡の前で、鴉丸鷹雅は喜びの雄たけびを上げていた。
真っ黒ふさふさの中にある、綺麗なまあるいミステリーサークル。
そこに、なんと、なんと、産毛が生えているではないか。
上から、横から、斜めから。
三面鏡と手鏡を駆使して産毛の生え具合を確認する鷹雅。
「奇跡だ……マジで奇跡の温泉だよ、天神温泉!」
これはもう、毎日通うしかないだろう。
学校帰りに空をひとっ飛びして、温泉にざぶんと浸かっていれば……ふさふさふさと……太陽の光に黒い稲穂(?)が輝きだすよ。
そんな涎モノの妄想をしながら、毎日せっせと温泉に通いつめた鷹雅だったが。
デリケートゾーンに生えた産毛は、それ以上は増えてこなかった。
それどころか、退化しているような気もしないでもない。


