天神学園は珍妙なところだ。

修学旅行や遠足などの学校行事だけでは飽き足らず、突発的に温泉旅行なんかが企画される。

しかも幹事は学園長だというから更に驚きである。



しかし、異世界からやってきたフェイレイとリディルには、それが特異なことであるこだとは分からない。

そういうものだと理解して、学園の面々とともに温泉旅行に出かけた。



魔族討伐などの依頼を請け負うギルドに所属していた彼らは、2人きりで旅をすることも多かったのだが、その多くがテントを張っての野営であったり、3日くらい寝ずに魔族と戦ったり、船上で夜明かししたり……と、そんな感じであったので、こんな風にのんびりとした旅はほぼ初めての経験であった。

もちろん、『温泉』も初めて。

海水浴ならば経験はあるのだが、お風呂での裸のお付き合いは初めてである。


「そういえば、新婚旅行、行ってないんだなー」

露天風呂にリディルと並んで浸かりながら、フェイレイが言った。