オノマトペ

チビっ子剣士は眉尻を下げ、僅かに俯いた後、何か覚悟を決めたような表情で顔を上げた。

それを見た花音は、色の良い頬を膨らませ、ばっと右手を上げた。

(平手打ち!?)

クラスメイトたちは、はっと息を呑んだ。


「ええぇえぇえぇぇええいっ!」


気合十分な──周りからすれば非常に間の抜けた──掛け声とともに、花音の右手は思い切り振られた。

ぶうん!

そして思い切り空振りした!

(えええええ!)

周りが目を見開く中、花音は勢い余って床にぽてっと転んだ。

人を殴ったことのない花音は、人を殴るのが怖くて目を瞑っていた。そりゃあ空振りするわけである。

床に手をついた花音の大きな目には、じわりと涙が浮かぶ。