オノマトペ

2人は試合開始の合図に、互いに向き合って礼をする。

いつもスペシャルバカとやっている組手と同じ。10分一本勝負。

審判はいないので、どちらかがここまでと思ったら、時間を待たずにそこで終わりとする。

「手加減、しなくていいから。力いっぱい撃ってきて、大丈夫だよ」

「はい」

そう返事はするものの、防具もつけず、体操服を着ただけのか弱そうな少女を攻撃することに、多少なりとも抵抗を感じる。

どれくらい本気でいってもいいのか、ゆっくりと円を描くように動きながら思案する。

リディルは拓斗の動きを目で追おうとはしない。どこを見るとはなしに、静かにただ立ち竦んでいる。

(気配だけで……感じてるのかな)

どう攻撃したら良いものか。

一瞬だけ迷う拓斗だが、まずは一撃。

リディルの正面から、ぐっと踏み込んで右の拳を突き出す。