オノマトペ

「そ、そうかな」

「そう。私も、フェイに救われてここにいる」

「……そう?」

「うん」

リディルはしっかりと頷く。

「『勇者』は力が強いだけの人のことを言うんじゃない。人の心を救える、勇敢で優しい人のことを言うんでしょ? だからフェイは、間違いなく、私の……勇者」

ふわり、と愛らしく微笑むリディルに、フェイレイは胸の奥が熱くなった。

「……ありがとう」

そう言って、にいっと笑う。

「ね、抱きしめてもいい?」

「え?」

リディルはぱちりと瞬きをした後、ちら、ちら、と視線だけを動かして周りを見た。

まだ観覧席にも校庭にも人がわらわらと残っている。

「だ、だめ」

「えー、いいじゃん。みんなに俺たちは夫婦だって知られてるんだし」

「人前では、だめ」

リディルの顔が困ったように歪み、白い頬がほんのりと赤く色づく。