オノマトペ

「来年は同じステージに立つのかな?」

素晴らしい試合に歓喜する観衆の中で、和音が訊ねる。

「……うん。あそこを目指して、頑張るよ」

そう言う拓斗に、和音は微笑みかける。

「今度は“突き抜けられそう”、かな?」

その言葉に、拓斗は丸い目を更にまんまるにして兄を見た。そして口を尖らせる。

「……兄さんには何もかも見通されているような気がするよ」

「ふふ、そうでもないけどね」



──そう、確かに。

この道を選んだのは、自分に足りないものを得たかったから……そこに手を伸ばしたかったから、だ。

リング上で満足げな顔をしている、勇敢な戦士たちのように。

誰にも遠慮することなく、誰かの背を追うのでもなく。ただひたすらに己の道をゆく。

そういう“我侭な”生き方を、してみたかった。

(それも、兄さんの影響ではあるのだけど)

それでも、自分だけの道を見つけるために。

拓斗はこれからも武道家として歩んでいく。