「“普通の”学校だって。楽しみだなっ」

フェイレイがにこりと笑えば、リディルもフェイレイを見上げ、はにかむ。

「うん」

「ちゃんと勉強して帰ろうな」

「うん」

「俺たちの世界のために」

「……うん」



2人は三日月を見上げ、そっと手を繋ぐ。

この天神地区にやってきた意味を考えながら。










「そ、それで、2人の出会いはどんなのだぴょん?」

翌日の朝食にて、興味津々に花音が聞いた。

「え? んーと、子どもの頃に川から流れてきたリディルを俺が拾ったの。それからはずっと一緒に育ったんだ」

朝から爽やかな顔でフェイレイは説明した。その横で、リディルは眠そうな目でこくり、と頷いた。

「……桃太郎?」

「桃太郎的な出会いだね」

拓斗、和音がにこやかに突っ込んだ。