オノマトペ

バターン、と激しい音を立てて玄関のドアが開いた。

「やあっ、マイスウィートハニーたちっ、元気にしていたかなあっ？」

そう言いながら飛び込んできたのは、和音をそのまま大人にしたような容姿をし、貴族服を着た男性──橘ブラザーズの父、奏一郎であった。

奏一郎は玄関に勢ぞろいしている３人の子どもたちを見て、はっと口元を押さえた。

「なんとっ……みんなを驚かせようと連絡しないで帰ってきたというのに……愛しい父の帰りを心で感じ取ってくれたんだね。みんな久方ぶりに父に甘えようと玄関に集まってくれていたんだねっ。Tout plein de flocons de bisous pour mon surfing chéri chéri～!!（愛しい君たちにいっぱいチューしちゃうんだぞおっ☆）」

感極まったように涙目になった父奏一郎は、バッと両手を広げて子どもたちに向かって突進してきた。

それを華麗にかわす子どもたち。

奏一郎は見事、階段前に突っ込んだ。

「まったく、奏一郎さんったら……」

そんな呆れた声とともに家の中に入ってきたのは、花音をそのまま大人にしたような姿をした女性──母である律花だ。

「もう少し落ち着いて行動なさいと、いつも言っているでしょう？　まったく、これが世界のマエストロの姿だなんてねぇ……」

長い黒髪を後ろに流し、にこりと優雅に微笑んだ律花は。

「たっだいま～。みんな元気にしてた？」

と、手を振った。